まちのサイン計画江東区やさしいまちの誘導計画2007

江東区の「やさしいまちづくり推進計画」の一環として、安全・安心で誰でもが円滑に移動できる街の創造を目標に、ワークショップで抽出された課題や提案を「やさしいまちの誘導システム」として具現化しました。

江東区砂町一帯は古くからの住民が多く住む一方、集合住宅が急速に増えたため新しい住民も多い地域です。この地区は、歩行路の拡幅・段差解消、誘導ブロック敷設など物理的なバリアの解消は図られつつあります。しかし平成16・17年に江東区が行ったワークショップで、歩行者にとってわかりにくい、歩きにくいという不便を訴える声が挙げられました。

格子状の幹線道路の交差点の景観が似ているため、歩行時に現在位置を把握しにくい。外来者や新住民・低視力の人たちには、交差点の間で細い道に入る《めじるし》がつかみにくい。地下鉄駅入口が歩行者動線からわかりにくい。バス停の位置案内や路線、施設の位置がわかりにくい、などの問題が明らかになりました。これらの解決にあたって、行政や道路・交通などの管理者、地元自治会、学識経験者らからなる協議会が設立され、ア−ル・イー・アイは設計者としてワークショップと協働しました。

サイン設置場所の状況に応じて、位置・本体形状・色彩・照明方式・音や触覚による情報提供を検討し、全盲者や低視力者、高齢者、車いす使用者、聴覚障害者らの協力を得て試作を重ね、デザインを決定しました。

グラフィックデザイン

低視力者を交えてグラフィックデザインの検討の結果、表示面は地色を暗い色に、文字や図形を明るい色とした。この方法は地色を明るくする方式に比べて、掲載できる文字量が著しく少なくなるため、表記内容を念入りに選択する必要がありました。

音による案内(サウンドスケープ)

全盲の人たちが街を歩くときには、白杖で足許の状態を知ると同時に、店舗や自販機などが発する音も現在地を知る手懸りなっています。主要箇所のサインにはサウンドスケープデザイナーによって、それぞれ特徴のある音サインが組み込んであります。それらが必要でない人には気づかない音量と、近くの生活者の邪魔にならない音型でつくられています。

触知による案内

全盲の人は知らない場所では不必要に手で物に触らないよう歩行訓練で指導を受けています。従って、タクシーや迎えを呼ぶなど、どうしても地点名を知りたいときのために、交差点に設置するタイプに限って地点名が点字表記してあります。このことは、ワークショップに参加した視覚障害者のグループを通じて、周知されています。